N.O.(Nord Ost)

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Nord Ost的 2017年 漫画ベスト10選

 

8日間の冬休みです。在宅仕事持ち帰ったけど投げました。でもやんなきゃ漫画買えないね。
いわゆる年間ベストモノ記事、取り掛かりあぐねていたけど、書かないのも勿体ないので、やります。対象は2017年にリリース(出版・公開)されたモノに絞ります。


10.めしにしましょう/小林銅蟲

2017年を総括する際、真っ先に頭に浮かんだ。寿司虚空編、ザ・ノンフィクション出演といい、異様過ぎる銅蟲節のパワーにメジャーの土壌がモリモリ吸い込まれていったような印象がある。
面白いというより、銅蟲先生自体に正体不明の甚深な中毒性がある。よかったですね。

9.完全版サイコ工場 A線・Ω線/谷口トモオ

特殊レーベル的な存在感を今年発揮し続けていたリイドカフェ、肝入りのリリース。
ホラー漫画というよりは、各方面への嫌味無いオマージュや1カット毎のスタイリッシュさ、不穏で違和感のあるブツ切りなストーリーテリングの方に目を惹かれる。絵も上手すぎる。
「20年前の作品を、鮮烈な新作としてリイシューする」という姿勢も込みで、選ばずにはいられない。

8.ザ・ファブル南勝久

「最強の殺し屋が、殺しの休暇を取る」
この一行だけで完全に面白さが保証されている漫画で、試し読みだけして即漫画喫茶駆け込んだ。

台詞の独特の間(〜〜〜、………の多用etc)が作品全体に「乾き」を与え、笑えるのに緊張する。ファブルがひたすら最強なのもとても良い。万人に勧めたい、ニヒルなエンタメ。

7.映画大好きポンポさん/人間プラモ

pixivコミックとかですらなく、pixivのアップロード作品。134ページ。恐ろしい。

映画を題材にしつつ、内容は物作りの真髄の一端に掴みかかる。作中ハイライト、一瞬の美のシーンは必見。
「泣かせ映画で感動させるより おバカ映画で感動させる方がかっこいいでしょ?」さりげなく出るこのセリフ!
漫画としては、贅肉が徹底的に削ぎ落とされた隙の無さに惚れ惚れもする。ヤマ・オチ・イミが完璧に揃ってる。

インディー漫画をもっと知りたくなる作品。

www.pixiv.net

6.大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック/植芝理一

本当はもっと新しい作家のことを紹介したい。泣く泣く選外にしたものが幾つもある。それでも植芝理一の更新は、自分にとって余りにもセンセーショナルだった。
「母親の20年前の姿に恋をする」なんて、非健常の極北を変わらず疾走している植芝理一先生のブレなさに惚れ惚れする。あと前作オマージュに涙。

5.別式/TAGRO

2巻の帯に「変ゼミTAGRO」と書いてあるけど、プロモーションとして正解でも推薦文としてはどうかと思う。
この漫画は不遇の名作サルガッ荘を超える挑戦に映る。時代考証を横に追いやってスムースさを取りつつ、別式女という設定だけは細かに掬い上げ、クライマックスの提示でコミカルさとシリアスさを相互に活かす。
信じられないぐらい面白いのに全然売れた話を聞かなくて、漫画ってただ買って読むだけじゃ不十分だな、とすら思った。絶対に終わらせたくない。

4.ルポルタージュ売野機子

TAGRO「別式」売野機子ルポルタージュ」が売れずに他の有象無象がヒットを飛ばすのは、出版システムひいては金回りそのものへの不信感が…なんて言っても仕方がない。移籍決定して本当に安心した。

最高の漫画。特にストーリーテリングの観点で言うなら今年ナンバーワン。愛とは何か?

3.娘の家出/志村貴子

志村貴子大先生に関しては、今年も作品に展覧会にユリイカに、多彩な立ち回りでその仕事を届けていただき、本当に頭を垂れて感謝を念じる他ない。
特に、今年は娘の家出と淡島百景がどちらもリリースされて本屋が神殿のように思えた。2つで散々迷って娘の家出を選択。綺麗な完結に花を添えて。
原画展は記事書いてたら消え、結局そのままにしたけど、ここじゃ書ききれないほど素晴らしかった。

これは聖書です

2.甘木唯子のツノと愛/久野遥子

表紙を見た瞬間に買っていた。2017年ナンバーワンジャケ。完全に事件、只者じゃない。表現の突き抜け方が断トツだった。
演出・アニメーション畑からの殴り込みなだけあってコマ割りや構図が死ぬほど巧くて、ページをめくるたびに参る。これが1作目なのは漫画文化にとって大きな財産。
そんなことよりも、表題作「甘木唯子のツノと愛」の切なさに涙が止まらなくなった。胸を刺すのは台詞とコマの角だ。

甘木唯子のツノと愛 (ビームコミックス)

甘木唯子のツノと愛 (ビームコミックス)

 

1.それでも町は廻っている石黒正数

大学を卒業して、就職して、退職して、アルバイトを始めて、そこでまた就職した今年。モラトリアムの決定的な整理として、それ町の最終巻が提示された。

歩鳥とタッツンが看板を磨くシーンに、そのまま4年分の走馬灯が投影された。
歩鳥がボタンを押したことで、モラトリアムが「バツン」と切れ、夢が覚めた。

それでも、最終回は再びそれ町世界のどこかに繋がるようなとりとめの無い話で、町が再び廻っていく、そんな循環を「救い」として残し、終わった。
帯の「さらば嵐山歩鳥!!」は2017年最良のコピー。素晴らしい夢を見ていける漫画だった。ありがとうございました。

 


10作もあるかな、と思って始めたら案の定選定に迷った。BEASTERSとかオトメの帝国とか、もっと入れたい漫画色々アホ程あったし、既刊でいうとキリが無い。
来年も書泉ブックタワーまんだらけBOOKOFFを掘りまくって、心が震えるような漫画を見つけたい。そして、漫画の押し付け合いに多大な感謝を。

 


EX.クッキングパパうえやまとち

まず、クッキングパパとは人間賛歌。ジョジョとは違い、ただ慎ましく人生を歩くだけの「市井の人」を讃える美しい漫画なんだ。
といった熱い思いを抱かずにいられないような作品で、ここ最近時間を見つけては外で読み続けた。ARIAばりの優しさにあふれた世界観、人々の脈々と続く営みや成長、そして料理と幸福、ハッピーである為に大切な要素が全て詰まっている。
クッキングパパの書評で「偉大なるマンネリ」という言葉を使っていた人がいて、これ以上相応しい評もない。

 

クッキングパパ(144) (モーニング KC)

クッキングパパ(144) (モーニング KC)