N.O.(Nord Ost)

学校ないし 家庭もないし 暇じゃないし カーテンもないし

とよ田みのる「友達100人できるかな」に教わった、泣き笑いの美しさ

 


僕は23歳でもうすっかり大人です。大人というのは、年齢や身分じゃなく子供の頃を懐かしむ気持ちが生まれたときになるものだと思います。
もう2度とは戻らない美しい時間への郷愁や後悔。そんな感情の救いになったのが、今日読んだとよ田みのる友達100人できるかな」。

 

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あらすじ
出産を控えた妻を持つ36歳の教師直行の世界に、宇宙人がやってくる。彼(彼女)たちの侵攻を防ぐには、地球人が「愛」を持っていることを証明するため、友達を100人作らなければいけない。
試験会場は小学生だった1980年のパラレルワールド。2009年からタイムスリップして、身体は子供・頭脳は大人の直行が、宇宙人の道明寺さくらと、友達作りに奔走する。

 


小学生の頃にしかない掛け替えのない営みや、子供にも大人にも通底する感情、そして「愛」。それを求めて主人公・直行くんがガムシャラに駆けずる全5巻の漫画です。
「あの頃、確かに友達だった」「もっと友達になればよかった」そんな後悔は、日本的ガキ社会で育った人すべてが持っている普遍的な感情のはずです。
友達100人できるかな」は、初めから終わりまで、あの時の「もしも」を徹底的に見せてくれた。こんなに幸せな漫画はない。涙が止まりませんでした。

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僕が本当に好きになるものの共通点は、「泣き笑い」が軸になっているもの。基本は楽しさや喜びが、そんな中に入り混じる韜晦や感動。片想い・クッキングパパBOaTムーンライダーズ・町の銭湯・家族・友達・AMP・etc・etc・etc。過去や現在辿ってきた好きなものを、殊更に補強してくれる素晴らしい漫画でした。

 

分かり合えない事がこの世で一番つらいことで、分かり合えた一瞬がこの世で一番美しいものだ、と僕は極東学園天国なんかを読んで学んだのですが、「友達100人できるかな」はそれを見事に肯定してくれました。

キャラクターの動き、コマやフキダシの配置、シチュエーション、ストーリー、絵、すべてがあたたかい。
内容については語るべくもなく、ただ一言読んでみてください、としか言いたくありません。人の営みが輝く瞬間が一番美しい、そんな漫画です。

自分の醜さやふがいなさすらどうでも良くなるぐらい、人生の中の一瞬の美に気づける漫画が「友達100人できるかな」です。